大阪高等裁判所 昭和58年(ネ)413号 判決 1984年10月31日
控訴人
京都信用金庫
右代表者
阿南孝士
右代理人
井澤美治
右訴訟代理人
吉永透
太田全彦
被控訴人
国
右代表者法務大臣
住栄作
右指定代理人
矢野敬一
外三名
主文
1 原判決中、控訴人敗訴の部分を次のとおり変更する。
2 控訴人は被控訴人に対し、金三六万七六二七円とこれに対する昭和五二年八月一六日から完済まで年六分の割合による金員の支払をせよ。
3 被控訴人のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は、第一、二審とも、控訴人の負担とする。
5 この判決は、前記の2にかぎり仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判<省略>
第二 当事者の主張
当事者の主張は、次のとおり付加するほか、原判決の事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。
一 控訴人
1 訴外国民金融公庫(以下「公庫」という。)と控訴人との間の昭和四五年七月一日付代理業務契約書(乙一号証、以下「現行の代理業務契約書」ともいう。)八条の規定(原判決事実摘示の被告の抗弁1の(一)ないし(三)記載、以下「現行の八条の規定」ともいう。)は、以下に述べるとおり、受託機関である控訴人の五〇パーセントの補償責任と一〇〇パーセントの保証責任を定めたものである。
(一)(1) 公庫と控訴人との間に締結された最初の代理業務契約書である昭和二七年四月二〇日付契約書(乙二四号証)では、八条は本判決添付の別紙(一)記載のような内容の規定となつていた。つまり、これは、貸付金の回収不能に伴う委託機関と受託機関の損失平等分担を目的とするだけの補償責任を定めたものであつた。
(2) ところが、その後、補償責任の履行期との関係でしばしば回収不能の判定につき疑義が生じたので、これを明らかにするため、公庫と控訴人との間において昭和三〇年五月一三日付で同別紙(二)記載のような内容の右代理業務契約の一部変更契約が締結され(乙二五号証の一)、これに伴い右当事者間に同別紙(三)記載のような内容の覚書(乙二五号証の二)が交換された。こうして、回収不能の判定及び五〇パーセントの補償責任、回収金の按分規定が整備されたが、これらの規定による受託機関の責任は、貸付金の回収不能による損失の平等分担のための補償責任であつて、そこには、保証債務履行による求償といつた事態が発生する余地はなかつたのである。
(3) 現行の八条の規定は、以上のような経過のもとに定められたのであるが、右規定は、文言上は、一応一項で受託機関である控訴人の五〇パーセントの保証責任を、二項で保証責任の履行期の猶予及び貸付金の管理回収責任を、三項で貸付金の回収金及び求償権の行使に基づく弁済金の按分充当をそれぞれ定めているといえる。
しかし、まず第一に、最初の代理業務契約から一部変更を経て現行の代理業務契約に至るまでを通じ、八条の規定が貸付金の回収不能に際しての委託機関と受託機関の損失の平等分担を目的としたものであることは明らかである。従つて、現行の八条一項の規定は、明文の文言にかかわらず、受託機関である控訴人の五〇パーセントの補償責任を定める趣旨を含んでいるといわなければならない。
(二) 次に、現行の八条の規定は一項において五〇パーセントの保証責任という文言を使つているが、この一項は三項と結合することによつて、八条全体として受託機関である控訴人の一〇〇パーセントの保証責任を定めているのである。もし三項における求償権行使による弁済金についての按分充当規定がなければ、一項の保証責任は文言通り五〇パーセントであるが、右規定が存在することによつて一〇〇パーセントの保証責任を定めたものと解すべきである。そうでなければ、次のような不当な結果を招来することになる。
(1) 受託機関がいかに残債権相当額以上の担保価値のある物件に担保権の設定を受けていても、当該担保物件をもつて五〇パーセント相当額の求償権による担保権実行をなし、かつ、その剰余が後順位担保権者にすべて配当されてしまうと、後に八条三項によつて発生する求償権の全部の満足は不能に帰することになる。
(2) また、受託機関の求償権につき保証がつけられている場合においても、受託機関の保証人に対する権利行使は、五〇パーセントしかなしえないにもかかわらず、回金によつて受託機関は二五パーセントの満足しか得られないまま、保証人の受託機関に対する保証債務は消滅してしまうことになる。
(三) 以上要するに、現行の八条の規定は、一項において受託機関である控訴人の五〇パーセントの補償責任を定め、全体においてその一〇〇パーセントの保証責任を定めたものといわなければならない。
2 仮に右主張は理由がなく現行の八条の規定が受託機関である控訴人の五〇パーセントの保証責任を定めたものであるとしても、被控訴人の本件差押にかかる別段預金払戻請求権(原判決事実摘示の請求原因2記載、以下「本件受働債権」ともいう。)は、次に述べるとおり、控訴人主張の相殺により全額消滅に帰したというべきである。
すなわち、受託機関である控訴人は、まず、現行の八条一、二項の規定に基づいて委託機関である公庫に対し訴外谷川秀雄(以下「谷川」という。)の借入金の残元本七二万円とこれに対する昭和五二年二月一日からの利息・損害金との合計の五〇パーセント相当額を保証人として代位弁済しなければならない。そして、控訴人が右代位弁済をした場合、控訴人は谷川に対し右代位弁済額と同額の求償権を取得することになる。ところで、控訴人は、右求償権の回収方法として本件受働債権との対当額による相殺を予定していたのであるが、控訴人が右相殺により右求償権の回収をしたときは、同条三項の按分充当・回金規定に基づき右回収金の二分の一相当額を公庫に回金しなければならないことになる。そして、右回金の結果、控訴人は谷川に対し右回金額と同額の求償権を取得するので、控訴人はさらにこれと本件受働債権の残額とを対当額で相殺して右債権の回収をすることになる。この場合、先の場合と同様、控訴人は前記按分充当・回金規定に基づきさらに右回収金の二分の一相当額を公庫に回金しなければならないことになる。このように、代位弁済、求償権の取得、相殺、回金といつた手順を順次繰返し行なうことによつて、控訴人は公庫の貸付金の残元本等全額を回収するとともにこれと同額の自己の求償権の完全な満足を得ることができるのである。
そして、受託機関である控訴人は、本件差押前において、右の方法による求償権の完全な満足につき期待的利益を有していたのであつて、このような期待的利益が差押により剥奪されないことは、相殺に関する最高裁判所昭和四五年六月二四日大法廷判決において明らかである。
二 被控訴人<省略>
第三 証拠関係<省略>
理由
一<省略>
二控訴人の当審における主張1について
(一) 控訴人は、現行の八条の規定の沿革を根拠として、「現行の八条一項の規定は、明文の文言にかかわらず、受託機関である控訴人の五〇パーセントの補償責任を定める趣旨を含んでいるといわなければならない。」旨主張する。
よつて、検討するに、<証拠>によれば、公庫と控訴人との間に締結された最初の代理業務契約である昭和二七年四月二〇日付契約書(乙二四号証)では、八条は本判決添付の別紙(一)記載のような内容の規定となつていたこと、ところが、その後、「補償」義務の履行期である「貸付金の回収不能」時の判定につきしばしば疑義が生じたので、これを明らかにする等の必要から、公庫と控訴人との間において昭和三〇年五月一三日付で同別紙(二)記載のような内容の右代理業務契約の一部変更契約(乙二五号証の一)が締結され、これに伴い右当事者間に同別紙(三)記載のような内容の覚書(乙二五号証の二)が交換されたこと、現行の八条の規定は以上のような経過のもとに定められたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
そして、右認定の事実並びに弁論の全趣旨によれば、現行の八条の規定の沿革並びに趣旨については、次のとおり認定ないし解釈するのが相当である。
(1) 前記最初の代理業務契約八条の規定においては、受託機関である控訴人は「貸付金が回収不能となつたとき」、すなわち貸付金の回収不能による損失が確定したときに、代理貸付における委託機関と受託機関の前記(前記引用の原判決の理由二の1の(二)記載)の持ちつ持たれつの関係に基づく右損失の最終的な平等分担として、委託機関である公庫に対し「回収不能元金の半額に相当する金額を補償しなければならない。」ものとされている。
そして、右契約においては、その後の貸付金債権の管理回収、その結果としての回収金等の按分充当に関する現行の八条二、三項の如き規定を欠いているが、これは、右「貸付金の回収不能」時以降における貸付金の回収ということはありえないからこのような規定を置く必要がないとの判断に基づくものと解される。
なお、右規定中の「補償」なる文言は、「前記損失に対する分担金の支払」という趣旨で使用されていることは明らかであるが、これがそれ以上いかなる法律的意味をもつものとして使用されているかは、右契約条項の規定上明確ではない。
(2) 前記一部変更契約八条においては、「貸付金について、最終弁済期限到来後一年を経て、なおその弁済がなかつたとき」をもつて前記「貸付金の回収不能」時とみなすこととされ、受託機関である控訴人は委託機関である公庫に対し、右みなされた「貸付金の回収不能」時において、「未収元利金(廷滞利息を含む。)の五割に相当する金額を遅滞なく借受人に代つて弁済」すべきものとされた。
そして、右の時点においては、実際に貸付金の回収不能が確定するわけではなく、従つて、その後においても、受託機関である控訴人をして引続き貸付金債権の管理回収に努めさせるとともに、その結果右債権につき回収金があつたときは前記損失の最終的な平等分担のためこれを委託機関と受託機関との間で平等に按分充当する必要があるところから、この点に関する現行の八条二項及び三項前段の如き規定が新設されるに至つた。
また、受託機関である控訴人の前記「補償」義務の法律的性質については、前記のとおり、右義務が「借受人に代つて弁済」すべき義務であることが明らかにされ、これによれば、右「補償」義務なるものは、借受人である谷川の借受金債務に対する附従性を有し、従つて、本質的には民法上の保証に他ならないと解される。そうだとすれば、受託機関である控訴人は、右義務の履行により借受人である谷川に対し求償権を取得することになり、その後右求債権に基づいて右谷川から弁済金を受領することもありうるから、前記損失の最終的な平等分担のためには、右弁済金についても現行の八条三項後段の如き按分充当規定を置く必要があるが、右一部変更契約においては、このような規定を欠いている。
(3) 現行の八条の規定においては、従前の代理業務契約(前記覚書による分を含む。)中で使用されてきた「補償」なる文言が「保証」なる文言に改められているが、以上の沿革等に鑑みれば、これは前記「補償」義務が本質的には民法の保証債務に他ならないことを明らかにしたものと解すべきである。
以上の次第であつて、結局、現行の八条の規定は、代理貸付における委託機関と受託機関の前記関係に基づいて前記損失を右両者間で平等分担させることとし、右分担の暫定的な実現のため、一、二項において受託機関である控訴人の保証債務とその履行期を規定するとともに、右分担の最終的な実現のため、三項において貸付金債権の回収金及び求債権に基づく弁済金に関する按分充当を規定した(なお、右弁済金に関する按分充当規定は新設)ものと解すべきである。
以上のとおり認定ないし解釈するのが相当である。
ところで、控訴人の前記主張については、その「補償責任」なる概念がいかなる法律的意味をもつものとして使用されているかが必ずしも明確でないので、その当否を的確に判断することは困難であり、結局、右主張は以上の認定ないし解釈に合致する限度で理由があるが、これに反する限度で理由がないというほかはない。
(二) 控訴人は、「現行の八条の規定は一項において五〇パーセントの保証責任という文言を使つているが、この一項は三項と結合することによつて、八条全体として受託機関である控訴人の一〇〇パーセントの保証責任を定めているのである。」とし、そうでなければ、その主張のような「不当な結果を招来する。」旨主張する。
しかしながら、現行の八条の規定の趣旨は前記(一)の(3)説示のとおりであつて、右八条の規定は、その文言からすれば、一、二項において受託機関である控訴人の五〇パーセントの保証債務を定めたものと認めるのが素直な解釈であり、右一、二項と三項とを結合し八条全体として考察してみても、受託機関である控訴人の一〇〇パーセントの保証責任(債務)を定めたものと解するのは相当でない。
(三) もつとも、受託機関である控訴人は、右五〇パーセントの保証債務を履行した後においても、右八条三項後段の規定(求債権に基づく弁済金に関する按分充当規定。これを以下「回金規定」という。)があるため、公庫に対し次のような金員支払義務を負担することはいうまでもない。すなわち、控訴人は、前記保証債務(現行の八条一項、二項)の履行により取得した求償権に基づいて借受人である谷川から弁済金を受領したときは、回金規定に基づき右弁済金の二分の一に相当する額を公庫に交付(回金規定に基づく金員の交付を、以下「回金」ともいう。)しなければならない(この場合、右求償権は右弁済により消滅するといわざるをえないから、この回金というのは、右弁済金の二分の一を公庫に分配するということではなく、公庫の貸付残金のうち右弁済金の二分の一に相当する金額を代位弁済するということに他ならない。)。そして、右回金の結果、控訴人は新たに借受人である谷川に対し右弁済費用の償還を求める権利を取得することになるが、控訴人は、この権利に基づき右谷川から弁済金を受領したときは、さらに公庫に対し前同様の回金をしなければならない。このような次第で、結局、控訴人が右谷川に対し取得する求債権及び前記権利(以下「求債権等」という。)につき完全な満足を得るためには、公庫をして貸付金につき完全な満足を得させなければならないことになる。
しかし、このことを理由として、控訴人主張のように「右八条の規定が全体として受託機関である控訴人の一〇〇パーセントの保証責任を定めたものである。」とし、これを前提として、控訴人主張の事前求債権(原判決事実摘示の被告の抗弁5の(一)記載、以下同じ。)を行使できると解することはできない。すなわち民法は、保証人に常に必ず主債務者に代り免責行為をするとは限らないことから、受任者の費用前払請求権に関する同法六四九条によることなく、同法四六〇条、四五九条一項前段の要件を充当する場合にかぎり予め求債権を行使することを認めたものであるところ、仮に控訴人が前記の回金規定に基づき負担する義務(以下「回金義務」という。)を民法上の保証債務にほかならないと仮定してみても、この義務は、控訴人が前記求償権等に基づき借受人から弁済金を受領することを停止条件として段階的に発生する債務であつて、債務の発生そのものが停止条件にかかり不確定であり、前記法条の要件を充足しているとはいえないことが明らかであるから、控訴人主張の事前求償権の行使は許されないと解するのが相当であるからである。
(四) また、以上のように解すべきものとした場合、控訴人主張のように、控訴人が回金義務を履行することにより、借受人である谷川に対し取得する前記権利について満足を得られないままその主張の担保権や保証債権が消滅してしまうという、控訴人にとり不都合な結果を招来する可能性がある。しかし、これは、現行の代理業務契約において前記趣旨内容の八条の規定を定めた結果であつて、このことをもつて控訴人の前記主張を理由づけることはできないというほかはない(なお、控訴人主張の右不都合な結果については、委託機関、受託機関、借受人等の関係人間において、右担保権や保証債権によつて担保ないし保証される求償権の範囲・回収金の貸付金債権ないし求償権等に対する按分充当方法につき特約する等の工夫を凝らすことにより、おおむねこれを回避することができると考えられる。)。
(五) よつて、控訴人の当審における主張1は理由がない。
三控訴人の当審における主張2について
<証拠>によれば、控訴人は前記保証債務及び回金義務の履行により借受人である谷川に対し取得する求償権等の回収方法として、本件受働債権との相殺を予定していたことが認められ、また、控訴人が公庫に対し本件差押後の昭和五二年八月一五日に谷川の公庫に対する借入金債務七五万六七二三円(残元金七二万円、利息五六三七円、遅延損害金三万一〇八六円)を弁済したことは、当事者間に争いがない。そして右弁済金のうち二分の一に相当する部分は、現行の代理業務契約八条二項の保証債務に基づく代位弁済として公庫に交付されたものであることが明らかであるから、この代位弁済により控訴人は谷川に対し同額の求償権を取得する(この求償権は、控訴人が、本件代理業務契約に基づき本件差押前から負担していた義務の履行により取得した権利であるから、民法五一一条にいう「差押後に取得された債権」に当らないと解する余地がある。)。しかし当時、控訴人が谷川から求償権等の弁済として金員を受領した事実を認めるに足りる証拠はないのであつて、前記の回金規定により控訴人が公庫に対し負担することあるべき義務(回金義務)は未だ発生していないのであるから、控訴人の公庫に対する前記弁済金のうち残余の二分の一については、控訴人が義務なくして谷川の為にした行為にほかならない。従つて、前記弁済のうち残余の二分の一につき控訴人が谷川に対し取得した権利は、本件代理業務契約に基づき発生したものではなく、これとは別に本件差押後にされた前記認定の控訴人の行為に基づき発生した権利であることが明らかである。してみれば、控訴人が本件代理業務契約に基づき本件差押前から負担していた義務の履行により谷川に対し取得した権利については、これが前記のように民法五一一条にいう「差押後に取得された債権」に当らないと解すべきものとしても、本件差押後にされた前記認定の控訴人の行為に基づき発生した権利は、右契約に基づき本件差押前に発生していた義務の履行により発生したものではないのであつて、同条にいう「差押後に取得された債権」に当ることが明らかであるから、この権利を自働債権として相殺をすることは許されない。
控訴人の当審における主張2は、前記認定の本件における事実関係とは異なり、その主張の谷川に対する「求償権」が本件代理業務契約から生じた回金義務の履行により発生した権利であることを前提とし、この「求償権」について満足を受けられる期待的利益は本件差押により剥奪されないとするものであつて、前提を欠き、採用することができない(前記弁済金のうち二分の一に関する部分については、すでに事前求償権による相殺を認めていることは前記のとおりであるから、控訴人の当審における主張2のうち右二分の一に関する部分については判断を示す必要がない)。
なお控訴人指摘の最高裁判所判決は、事案を異にし、本件に適切ではない。
<以下、省略>
(栗山忍 河田貢 松尾政行)
(別紙(一))
昭和二七年四月二〇日付代理業務契約書
八条 乙(控訴人)は、取扱の委託を受けた普通貸付の貸付金が回収不能となつたときは、甲(公庫)に対し、その回収不能元金の半額に相当する金額を補償しなければならない。
(後略)
(別紙(二))
昭和三〇年五月一三日付代理業務契約の一部変更契約書
八条 乙(控訴人)は、その取扱つた普通貸付の貸付金の全部又は一部について、最終弁済期限到来後一年を経て、なおその弁済がなかつたときは、当該未収元利金(延滞利息を含む。)の五割に相当する金額を、遅滞なく甲(公庫)に対し、借受人に代つて弁済し、引続き当該貸付金に係る債権の管理回収に努めなければならない。
(後略)
(別紙(三))
一条 変更契約前文に基づいて、なお、その効力を有する昭和二七年四月二〇日付をもつて甲(公庫、以下同じ。)乙(控訴人、以下同じ。)間に締結された国民金融公庫代理業務契約書八条の規定による回収不能の認定については、乙の取扱つた甲の貸付金のうち最終弁済期限到来後一年を経て、なお、その全部又は一部の弁済がなかつたものを回収不能とみなすものとする。
二条 乙は、前条の規定により、回収不能と認められた貸付金について、その元金の五割に相当する金額を、甲に対して補償し、引続き当該貸付金に係る債権の管理回収に努めなければならない。
三条 乙は、前条に定める補償を行なつた後、当該貸付金について元利金(延滞利息を含む。)の回収があつたときは、原則として、その金額から甲の未収利息債権(乙が補償を行なつたときまでの未収利息をいう。)に相当する金額を、甲に支払い、なお残額があるときは、その半額を取得することができる。